AWS RDS・Aurora・DynamoDBを理解しよう!データベースサービスの選び方

こんにちは!アプリケーションを作っていて「データベースはどのサービスを選べばいいの?」「RDS、Aurora、DynamoDB…何が違うの?」と悩んでいませんか?

私も最初は同じでした。「リレーショナル?NoSQL?」「マネージドサービスって何?」データベースの専門用語がたくさん出てきて、何を選べばいいか全然分からない状態でした。

でも大丈夫です!各データベースサービスの特徴を理解すれば、自分のプロジェクトに最適な選択ができるようになります。

今回は「図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術が これ1冊でしっかりわかる教科書[改訂2版]」を参考に、AWS RDS、Aurora、DynamoDBの特徴から実践的な選び方まで、初心者の方でも分かりやすく解説していきます!

図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術が これ1冊でしっかりわかる教科書 [改訂2版] [ 小笠原 種高 ]
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目次

クラウドデータベースの重要性とAWSの選択肢

なぜクラウドデータベースが必要なのか

現代のアプリケーション開発において、データベースの役割はますます重要になっています。

従来のオンプレミスデータベース:

  • データベースサーバーの購入・設置
  • OS・データベースソフトウェアのインストール・設定
  • 定期的なメンテナンス・パッチ適用
  • バックアップ・復旧手順の整備

クラウドデータベースの利点:

  • インフラ管理不要: AWSがハードウェア・OS・DBソフトウェアを管理
  • 自動スケーリング: 負荷に応じた自動的な性能調整
  • 高可用性: 複数データセンターでの自動冗長化
  • 自動バックアップ: 定期的なバックアップとポイントインタイム復旧

ビジネス上のメリット:

  • 開発速度向上: インフラ設定時間の短縮
  • 運用コスト削減: 専門人材の確保が不要
  • リスク軽減: AWSの専門性による高い信頼性
  • 災害復旧: 地理的に分散したバックアップ

技術的なメリット:

  • 自動パッチ適用: セキュリティ更新の自動化
  • 監視・アラート: CloudWatchとの統合監視
  • 暗号化: 転送時・保存時の自動暗号化
  • API統合: 他AWSサービスとのシームレス連携

AWS データベースサービスの全体像

AWSでは、様々な用途に対応したデータベースサービスが提供されています。

主要なデータベースサービス:

リレーショナルデータベース:

  • Amazon RDS: MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server等
  • Amazon Aurora: MySQL・PostgreSQL互換の高性能DB

NoSQLデータベース:

  • Amazon DynamoDB: キーバリュー・ドキュメント型
  • Amazon DocumentDB: MongoDB互換のドキュメントDB

専用データベース:

  • Amazon Redshift: データウェアハウス
  • Amazon ElastiCache: インメモリキャッシュ
  • Amazon Neptune: グラフデータベース
  • Amazon Timestream: 時系列データベース

選択の基準:

  • データ構造: 構造化データ vs 非構造化データ
  • トランザクション要件: ACID特性の必要性
  • スケール要件: 読み取り・書き込みの負荷特性
  • 一貫性要件: 強一貫性 vs 結果整合性

用途別の典型的な選択:

  • Webアプリケーション: RDS(MySQL/PostgreSQL)
  • 高トラフィックサイト: Aurora + DynamoDB
  • IoTデータ: DynamoDB + Timestream
  • 分析システム: Redshift + S3

Amazon RDSでリレーショナルデータベースを理解しよう

RDS(Relational Database Service)とは

Amazon RDSは、クラウド上でリレーショナルデータベースを簡単に設定・運用できるマネージドサービスです。

RDSの基本概念:

  • マネージドサービス: AWS がインフラ・OS・DBソフトウェアを管理
  • DBインスタンス: データベースが動作する仮想サーバー
  • DBエンジン: MySQL、PostgreSQL等のデータベースソフトウェア
  • 従量課金: 使用時間とストレージ容量に基づく料金

RDSが管理してくれること:

  • ハードウェアの調達・保守: サーバー機器の管理
  • ソフトウェアの更新: OS・DBエンジンのパッチ適用
  • バックアップ: 自動的な定期バックアップ
  • モニタリング: 基本的な性能監視

ユーザーが管理すること:

  • データベース設計: テーブル設計・インデックス設計
  • アプリケーション: SQLクエリ・アプリケーションロジック
  • ユーザー管理: データベースユーザー・権限設定
  • パフォーマンスチューニング: クエリ最適化

従来との比較:

  • 構築時間: 数日 → 数分
  • バックアップ: 手動設定 → 自動化
  • 障害対応: 夜間・休日対応 → AWS が自動対応
  • スケーリング: サーバー増設 → 数クリックで完了

対応データベースエンジンと特徴

RDSでは、主要なデータベースエンジンがサポートされています。

MySQL:

  • 特徴: 最も人気の高いオープンソースDB
  • 用途: Webアプリケーション、中小規模システム
  • 利点: 豊富な情報・ツール、学習コストが低い
  • バージョン: 8.0、5.7

PostgreSQL:

  • 特徴: 高機能なオープンソースDB
  • 用途: エンタープライズアプリケーション、複雑なクエリ
  • 利点: SQL標準準拠、拡張性、JSON対応
  • バージョン: 14、13、12

Oracle:

  • 特徴: エンタープライズ向け商用DB
  • 用途: 大規模基幹システム、既存Oracleシステム
  • 利点: 高性能、豊富な機能、実績
  • ライセンス: BYOL(Bring Your Own License)または License Included

SQL Server:

  • 特徴: Microsoft製の商用DB
  • 用途: .NETアプリケーション、Windowsベースシステム
  • 利点: .NET Framework との親和性
  • エディション: Express、Web、Standard、Enterprise

MariaDB:

  • 特徴: MySQLから派生したオープンソースDB
  • 用途: MySQLの代替、新規開発
  • 利点: MySQLとの高い互換性、オープンソース

選択の指針:

  • 新規開発: MySQL または PostgreSQL
  • 既存システム移行: 現在使用中のエンジンと同じもの
  • 高度な機能が必要: PostgreSQL または Oracle
  • .NET環境: SQL Server

マルチAZ配置と読み取りレプリカ

RDSでは、高可用性と性能向上のための機能が提供されています。

マルチAZ配置:

  • 目的: 高可用性・災害復旧
  • 仕組み: プライマリとスタンバイを異なるAZに配置
  • フェイルオーバー: 障害時の自動切り替え(1-2分)
  • 同期: 同期レプリケーションでデータ整合性確保

マルチAZのメリット:

  • RTO短縮: 復旧時間1-2分
  • RPO最小化: データ損失ゼロ
  • メンテナンス: 無停止でのパッチ適用
  • バックアップ: スタンバイからの取得で性能影響なし

読み取りレプリカ:

  • 目的: 読み取り性能の向上・負荷分散
  • 仕組み: 非同期レプリケーションで複製作成
  • アクセス: 読み取り専用エンドポイント
  • 地理的分散: 異なるリージョンへの配置も可能

読み取りレプリカの活用例:

  • レポート処理: 分析クエリの分離
  • 読み取り負荷分散: 複数アプリケーションでの分散
  • 地理的分散: 各地域での低レイテンシ読み取り
  • 災害復旧: クロスリージョンでのDR環境

設計のポイント:

  • 本番環境: マルチAZ配置を必須
  • 読み取り負荷が高い: 読み取りレプリカを追加
  • 地理的分散: クロスリージョンレプリカ
  • コスト最適化: 開発環境では単一AZ

Amazon Auroraの高性能アーキテクチャ

Aurora の革新的な設計思想

Amazon Auroraは、クラウド向けに一から設計された次世代リレーショナルデータベースです。

Auroraの革新的特徴:

  • ストレージとコンピュートの分離: 独立したスケーリング
  • 分散ストレージ: 3つのAZに6つのコピーを自動作成
  • 継続的バックアップ: S3への自動バックアップ
  • 高速復旧: クラッシュ後数秒での復旧

従来のDBとの違い:

従来のRDS:

  • ストレージとコンピュートが密結合
  • EBSボリュームでのストレージ
  • 定期的なスナップショット

Aurora:

  • ストレージとコンピュートが独立
  • 分散ストレージアーキテクチャ
  • 継続的なバックアップ

Auroraの技術的優位性:

  • I/O性能: 分散ストレージによる高速I/O
  • 耐久性: 99.999999999%(イレブンナイン)
  • 可用性: 15秒以内の自動フェイルオーバー
  • スケーラビリティ: 自動的なストレージ拡張(128TB まで)

コスト効率:

  • 実際に使用したストレージ容量のみ課金
  • 高性能により必要インスタンス数の削減
  • バックアップストレージ料金の最適化

MySQL・PostgreSQL互換性と性能向上

Auroraは既存のMySQL・PostgreSQLアプリケーションと完全互換性を保ちます。

MySQL互換性(Aurora MySQL):

  • バージョン: MySQL 5.7、8.0互換
  • 接続: 標準MySQLクライアント・ライブラリ使用可能
  • 移行: ほとんどのアプリケーションで変更不要
  • 性能: 標準MySQLの最大5倍の性能

PostgreSQL互換性(Aurora PostgreSQL):

  • バージョン: PostgreSQL 11、12、13、14互換
  • 接続: 標準PostgreSQLクライアント使用可能
  • 拡張: PostgreSQL拡張機能のサポート
  • 性能: 標準PostgreSQLの最大3倍の性能

性能向上の仕組み:

1. 分散ストレージ:

  • 複数のストレージノードでの並列処理
  • レプリケーションオーバーヘッドの削減
  • 高速なログ処理

2. 最適化されたネットワーク:

  • 専用の高速ネットワーク
  • レイテンシの最小化
  • スループットの最大化

3. インテリジェントキャッシュ:

  • 自動的なキャッシュ管理
  • ワークロードに適応した最適化
  • バッファプール効率の向上

実際の性能メリット:

  • 書き込み性能: ログ書き込みの高速化
  • 読み取り性能: 分散読み取りによる並列化
  • レプリカ遅延: ミリ秒レベルの低遅延
  • フェイルオーバー: 15秒以内の切り替え
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Aurora Serverlessとグローバルデータベース

Auroraには、さらなる運用効率化と拡張性を提供する機能があります。

Aurora Serverless:

  • 概念: サーバー管理不要の自動スケーリングDB
  • 特徴: 使用時のみ課金、自動的な開始・停止
  • 用途: 不定期なワークロード、開発・テスト環境
  • スケーリング: 秒単位での自動的な容量調整

Aurora Serverlessのメリット:

  • コスト最適化: 使用時間のみの課金
  • 運用簡素化: キャパシティプランニング不要
  • 自動化: データベース接続数に応じた自動スケール
  • 開発効率: プロビジョニング時間の削減

Aurora Serverless適用例:

  • 開発環境: 営業時間のみ使用
  • バッチ処理: 定期的な大量処理
  • スタートアップ: 予測困難な負荷変動
  • 災害復旧: 普段は停止、必要時のみ起動

Aurora Global Database:

  • 概念: 複数リージョンでのグローバル分散DB
  • レプリケーション: 1秒未満での全リージョン同期
  • 読み取り: 各リージョンでの低レイテンシアクセス
  • 災害復旧: クロスリージョンでの高速フェイルオーバー

Global Databaseの活用シナリオ:

  • グローバルアプリケーション: 世界各地でのサービス提供
  • 災害復旧: 地理的に分散したバックアップ
  • 読み取り負荷分散: 地域別の読み取りエンドポイント
  • 規制対応: データ保存場所の地域的要件

設計例:

プライマリリージョン(東京):
- 書き込み処理
- 日本・アジア地域の読み取り

セカンダリリージョン(バージニア):
- 北米地域の読み取り
- 災害時のフェイルオーバー先

セカンダリリージョン(アイルランド):
- ヨーロッパ地域の読み取り
- GDPR対応のデータローカライゼーション

DynamoDB でNoSQLデータベースを活用

DynamoDB の基本概念とデータモデル

Amazon DynamoDBは、高性能なNoSQLデータベースサービスです。

DynamoDBの特徴:

  • サーバーレス: インフラ管理完全不要
  • 自動スケーリング: 需要に応じた自動的な性能調整
  • 高可用性: 99.999%のSLA
  • 低レイテンシ: 1桁ミリ秒の応答時間

NoSQLデータベースとは:

  • スキーマレス: 事前のテーブル設計不要
  • 水平スケーリング: 分散処理による性能向上
  • 柔軟なデータモデル: JSON様の階層データ
  • 結果整合性: 分散システムでの整合性モデル

DynamoDBのデータモデル:

1. テーブル:

  • 定義: アイテム(レコード)の集合
  • 特徴: スキーマレス、属性は動的に追加可能

2. アイテム:

  • 定義: テーブル内の個別のレコード
  • 最大サイズ: 400KB
  • 構成: 属性の集合

3. 属性:

  • 定義: アイテム内の個別のデータ要素
  • : 文字列、数値、バイナリ、ブール、リスト、マップ等

データ型の例:

{
  "UserId": "user123",           // 文字列
  "Age": 25,                     // 数値
  "Active": true,                // ブール
  "Tags": ["premium", "active"], // リスト
  "Profile": {                   // マップ
    "Name": "田中太郎",
    "Email": "tanaka@example.com"
  }
}

パーティションキーとソートキーの設計

DynamoDBでは、効率的なデータアクセスのためのキー設計が重要です。

パーティションキー(Partition Key):

  • 役割: データの分散配置を決定
  • 別名: ハッシュキー
  • 要件: 一意性、均等な分散
  • : ユーザーID、商品ID

ソートキー(Sort Key):

  • 役割: パーティション内でのデータ順序
  • 別名: レンジキー
  • 用途: 時系列データ、階層データ
  • : タイムスタンプ、カテゴリID

キー設計パターン:

1. 単一テーブル設計:

PK: USER#user123
SK: PROFILE

PK: USER#user123  
SK: ORDER#2025-01-15#001

PK: USER#user123
SK: ORDER#2025-01-16#002

2. 時系列データ:

PK: SENSOR#device001
SK: 2025-01-15T10:30:00Z

PK: SENSOR#device001
SK: 2025-01-15T10:31:00Z

3. 階層データ:

PK: ORG#company1
SK: DEPT#engineering

PK: ORG#company1
SK: DEPT#engineering#TEAM#backend

設計のベストプラクティス:

  • ホットパーティション回避: パーティションキーの均等分散
  • アクセスパターン重視: クエリ要件に基づく設計
  • 階層的ソートキー: 効率的な範囲検索
  • GSI活用: 異なるアクセスパターンへの対応

オンデマンドとプロビジョンドキャパシティ

DynamoDBでは、ワークロードに応じた柔軟な課金モデルが選択できます。

プロビジョンドキャパシティ:

  • 概念: 事前に読み書き容量を設定
  • 単位: RCU(読み取り容量単位)、WCU(書き込み容量単位)
  • 課金: 設定容量に基づく固定料金
  • 適用: 予測可能なワークロード

容量の計算例:

読み取り容量(RCU):
- 1 RCU = 4KBまでの強一貫性読み取り/秒
- または 8KBまでの結果整合性読み取り/秒

書き込み容量(WCU):
- 1 WCU = 1KBまでの書き込み/秒

例:4KBアイテムを毎秒100回読み取り
→ 100 RCU必要

オンデマンドキャパシティ:

  • 概念: 実際のリクエストに応じた自動スケーリング
  • 課金: 実際の読み書きリクエスト数に基づく
  • 適用: 予測困難なワークロード
  • 特徴: キャパシティプランニング不要

選択の指針:

プロビジョンドを選ぶべき場合:

  • 予測可能で安定したトラフィック
  • コスト最適化が重要
  • 大量の継続的なアクセス

オンデマンドを選ぶべき場合:

  • 予測困難なトラフィック変動
  • 開発・テスト環境
  • スパイクの多いワークロード
  • 新しいアプリケーション

料金比較例:

月間1億リクエスト(均等分散)の場合:

プロビジョンド:
- 38.58 RCU → 約$18.5/月

オンデマンド:
- 1億リクエスト → 約$125/月

→ プロビジョンドが有利

不定期な大量アクセス:
- ピーク時対応のプロビジョンド → 高コスト
- オンデマンド → 使用分のみ課金で最適

データベース選択の判断基準と使い分け

RDS vs Aurora:リレーショナルDB内での選択

リレーショナルデータベースを選ぶ際の、RDSとAuroraの使い分けを考えてみましょう。

RDS(標準)を選ぶべき場合:

コスト重視のプロジェクト:

  • 小〜中規模のアプリケーション
  • 予算制約の厳しいプロジェクト
  • シンプルなワークロード

既存システムとの互換性:

  • 特定バージョンのDBエンジンが必要
  • カスタム設定・拡張機能を使用
  • 移行時の動作確認を最小限に抑えたい

技術的要件:

  • 読み取り負荷が比較的少ない
  • 単一リージョンでの運用
  • 高度な可用性要件がない

Aurora を選ぶべき場合:

高性能・高可用性が必要:

  • 大量のトランザクション処理
  • ミッションクリティカルなシステム
  • 24時間365日の稼働要求

スケーラビリティ要件:

  • 読み取り負荷の動的な変動
  • 将来的な大幅な成長予測
  • 複数の読み取りレプリカが必要

グローバル展開:

  • 複数リージョンでのサービス展開
  • 地理的分散でのデータ保護
  • 低レイテンシの要求

コスト比較例:

小規模システム(db.t3.micro):
RDS: $13/月
Aurora: $43/月(最小構成)
→ RDSが有利

中規模システム(db.r5.large相当):
RDS: $122/月
Aurora: $87/月(実使用量課金)
→ Auroraが有利

大規模システム(読み取りレプリカ3台):
RDS: $488/月
Aurora: $174/月(読み取りエンドポイント)
→ Auroraが大幅に有利

RDS/Aurora vs DynamoDB:データモデルでの選択

データベースタイプの選択は、アプリケーションの要件によって決まります。

RDS/Aurora を選ぶべき場合:

データ構造の要件:

  • 複雑な関係性: 正規化されたテーブル設計
  • トランザクション: ACID特性が必要
  • 複雑なクエリ: JOIN、集計、サブクエリ
  • データ整合性: 厳密な一貫性要求

技術的要件:

  • SQL使用: 既存のSQLスキル・ツール活用
  • レポート機能: 複雑な分析クエリ
  • バッチ処理: 大量データの一括処理
  • 既存システム: RDBMSからの移行

具体例:

  • 会計システム(複雑なトランザクション)
  • ECサイト(商品・注文・在庫の関係性)
  • CRM(顧客・案件・活動の複雑な関係)
  • ERP(統合業務システム)

DynamoDB を選ぶべき場合:

パフォーマンス要件:

  • 高速アクセス: 1桁ミリ秒の応答時間
  • 大量トラフィック: 毎秒数万リクエスト
  • 自動スケーリング: 予測困難な負荷変動
  • 低レイテンシ: リアルタイム要求

データ特性:

  • シンプルなクエリ: キーによる単純な取得
  • 非正規化: 階層データ、JSON形式
  • スキーマレス: 柔軟なデータ構造
  • 結果整合性: 若干の遅延が許容可能

具体例:

  • ゲームアプリ(プレイヤーデータ、スコア)
  • IoTシステム(センサーデータ、イベント)
  • ソーシャルアプリ(ユーザープロファイル、フィード)
  • セッション管理(Webアプリのセッションストア)
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パフォーマンス・コスト・運用性の比較

各データベースサービスの特性を総合的に比較してみましょう。

パフォーマンス比較:

特性RDSAuroraDynamoDB
読み取り性能最高
書き込み性能最高
レイテンシ5-20ms2-10ms1-5ms
スループット無制限
スケーラビリティ垂直水平+垂直水平

コスト比較(月額概算):

小規模(〜1000ユーザー):

  • RDS: $15-50
  • Aurora: $50-100
  • DynamoDB: $10-30

中規模(〜10万ユーザー):

  • RDS: $100-300
  • Aurora: $150-400
  • DynamoDB: $50-200

大規模(100万ユーザー〜):

  • RDS: $500-2000
  • Aurora: $300-1000
  • DynamoDB: $200-1000

運用性比較:

設定・管理の複雑さ:

  • RDS: 中程度(DB知識必要)
  • Aurora: 中程度(最適化された設定)
  • DynamoDB: 低(ほぼ設定不要)

監視・メンテナンス:

  • RDS: 定期的なメンテナンス必要
  • Aurora: 自動化されたメンテナンス
  • DynamoDB: 完全自動化

バックアップ・復旧:

  • RDS: 自動バックアップ、手動復旧
  • Aurora: 継続的バックアップ、高速復旧
  • DynamoDB: 自動バックアップ、ポイントインタイム復旧

スキル要件:

  • RDS: SQL、DB管理スキル
  • Aurora: SQL、クラウドDB知識
  • DynamoDB: NoSQL設計、API使用

実践的なデータベース設計と運用

セキュリティ設計とアクセス制御

データベースセキュリティは、多層防御で実現します。

ネットワークレベルセキュリティ:

VPC配置:

  • プライベートサブネット: DBインスタンスを非公開ネットワークに配置
  • セキュリティグループ: アプリケーションサーバーからのみアクセス許可
  • NACLs: ネットワークレベルでの追加制御

VPC Endpoint:

  • プライベート接続: インターネットを経由しないDynamoDBアクセス
  • セキュリティ向上: 外部ネットワークとの分離
  • コスト削減: データ転送料金の最適化

認証・認可:

IAM統合:

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement": [
    {
      "Effect": "Allow",
      "Action": [
        "dynamodb:GetItem",
        "dynamodb:PutItem"
      ],
      "Resource": "arn:aws:dynamodb:region:account:table/UserData",
      "Condition": {
        "ForAllValues:StringEquals": {
          "dynamodb:LeadingKeys": ["${aws:userid}"]
        }
      }
    }
  ]
}

データベースユーザー管理:

  • 最小権限原則: アプリケーションに必要最小限の権限のみ
  • ロールベースアクセス: 機能別・環境別のロール分離
  • 定期的な権限見直し: 不要な権限の削除

暗号化:

保存時暗号化:

  • RDS/Aurora: KMSキーによる自動暗号化
  • DynamoDB: デフォルトで有効な暗号化
  • キー管理: AWS KMSまたは顧客管理キー

転送時暗号化:

  • SSL/TLS: すべての通信を暗号化
  • 証明書検証: 接続先の正当性確認

バックアップ・復旧戦略

データ保護のための包括的なバックアップ戦略を設計しましょう。

RDS/Aurora のバックアップ:

自動バックアップ:

  • 保存期間: 1-35日(推奨:7日以上)
  • バックアップウィンドウ: 負荷の少ない時間帯に設定
  • ポイントインタイム復旧: 秒単位での復旧ポイント選択

手動スナップショット:

  • 重要な変更前: アプリケーション更新前の取得
  • 定期的な取得: 月次・四半期の長期保存
  • クロスリージョン: 災害復旧用の地理的分散

DynamoDB のバックアップ:

継続的バックアップ:

  • ポイントインタイム復旧: 35日間の任意の時点への復旧
  • 自動有効化: 新しいテーブルでの推奨設定

オンデマンドバックアップ:

  • 手動取得: 重要な変更前のスナップショット
  • 長期保存: 法的要件・監査要件への対応

復旧戦略:

RTO(Recovery Time Objective)設計:

  • マルチAZ: 自動フェイルオーバー(1-2分)
  • 読み取りレプリカ: 手動昇格(5-10分)
  • スナップショット復旧: 新規インスタンス作成(15-30分)

RPO(Recovery Point Objective)設計:

  • 同期レプリケーション: データ損失ゼロ
  • 自動バックアップ: 最大1時間のデータ損失
  • 手動スナップショット: スナップショット取得時点まで

テスト・訓練:

  • 復旧手順の文書化: ステップバイステップのマニュアル
  • 定期的な復旧テスト: 四半期ごとの訓練実施
  • 自動化スクリプト: 復旧作業の自動化

監視・パフォーマンスチューニング

継続的な監視とパフォーマンス最適化で、安定したサービスを提供しましょう。

基本監視メトリクス:

RDS/Aurora:

  • CPU使用率: 80%以下を維持
  • 接続数: 最大接続数の70%以下
  • レプリケーション遅延: 読み取りレプリカの遅延監視
  • ストレージ容量: 使用率の監視

DynamoDB:

  • 消費容量: プロビジョンド容量に対する使用率
  • スロットル: 容量不足によるエラー発生
  • ホットパーティション: 特定パーティションへの集中
  • レイテンシ: 応答時間の監視

パフォーマンスチューニング:

クエリ最適化:

-- インデックスの活用
CREATE INDEX idx_user_created_at ON users(created_at);

-- 効率的なJOIN
SELECT u.name, o.total 
FROM users u 
INNER JOIN orders o ON u.id = o.user_id 
WHERE u.created_at > '2025-01-01';

-- 不要なデータの除外
SELECT id, name FROM users WHERE active = true;

DynamoDB設計最適化:

# 効率的なクエリパターン
response = dynamodb.query(
    TableName='UserOrders',
    KeyConditionExpression='UserId = :uid AND #ts BETWEEN :start AND :end',
    ExpressionAttributeNames={'#ts': 'timestamp'},
    ExpressionAttributeValues={
        ':uid': 'user123',
        ':start': '2025-01-01',
        ':end': '2025-01-31'
    }
)

# バッチ処理での効率化
with table.batch_writer() as batch:
    for item in items:
        batch.put_item(Item=item)

アラート設定:

  • CPU使用率: 80%以上で警告
  • 接続数: 上限の70%以上で警告
  • レプリケーション遅延: 30秒以上で警告
  • エラー率: 1%以上で警告

AWS データベースを更に深く学ぶために

書籍で学べる高度なデータベース設計

今回の記事では、AWS の主要データベースサービスの基本から実践的な選び方まで解説しました。

「図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術が これ1冊でしっかりわかる教科書[改訂2版]」では、さらに高度なデータベース設計について詳しく学ぶことができます。

書籍で学べる詳細内容:

  • 高度なAurora活用: Global Database、Serverless v2の詳細
  • DynamoDB設計パターン: 単一テーブル設計、GSI活用
  • パフォーマンス最適化: 詳細なチューニング手法
  • セキュリティ強化: 暗号化、監査ログの活用
  • 移行戦略: オンプレミスからの段階的移行

特に図解による説明が豊富で、複雑なデータベースアーキテクチャも視覚的に理解できます。

実務で重要な高度なトピック:

  • データレイク設計: S3とAthenaでのビッグデータ分析
  • リアルタイム処理: Kinesis、Lambda、DynamoDBの組み合わせ
  • マルチリージョン設計: グローバルアプリケーション対応
  • ハイブリッドクラウド: オンプレミスとの統合
  • コスト最適化: Reserved InstanceやSavings Plansの活用

専門データベースサービス(Redshift・ElastiCache等)

用途特化型のデータベースサービスについても理解を深めましょう:

分析・データウェアハウス:

  • Amazon Redshift: ペタバイト級のデータウェアハウス
  • Amazon Athena: S3上のデータに対するサーバーレスクエリ
  • Amazon QuickSight: BIダッシュボード・可視化

キャッシュ・高速アクセス:

  • Amazon ElastiCache: Redis、Memcached対応のインメモリキャッシュ
  • Amazon DAX: DynamoDB専用の高速キャッシュ

専門用途:

  • Amazon Neptune: グラフデータベース(ソーシャルネットワーク、推薦システム)
  • Amazon Timestream: 時系列データベース(IoT、監視システム)
  • Amazon DocumentDB: MongoDB互換のドキュメントDB
  • Amazon Keyspaces: Apache Cassandra互換のワイドカラムDB

検索・全文検索:

  • Amazon OpenSearch Service: Elasticsearch互換の検索・分析エンジン

ブロックチェーン・台帳:

  • Amazon QLDB: 完全管理型台帳データベース
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選択の指針:

  • 分析・レポート: Redshift + QuickSight
  • リアルタイム検索: OpenSearch Service
  • 高速キャッシュ: ElastiCache
  • IoTデータ: Timestream + DynamoDB
  • グラフ分析: Neptune

これらの専門サービスも同じ書籍で体系的に学べるため、用途に応じた最適なデータベース選択ができるようになります。

まとめ

今回は、AWS の主要データベースサービス(RDS、Aurora、DynamoDB)について、基本概念から実践的な選び方まで詳しく解説しました。

重要なポイントをおさらいすると:

  • RDS: 従来のRDBMSをクラウドで簡単に利用
  • Aurora: クラウドネイティブな高性能リレーショナルDB
  • DynamoDB: サーバーレスな高性能NoSQLデータベース
  • 選択基準: データ構造、性能要件、運用性、コストを総合判断
  • セキュリティ: 多層防御による包括的なデータ保護

データベース選択は、アプリケーションの成功を左右する重要な判断です!

まずは小さなプロジェクトで各サービスを実際に試して、特性を体感してみてください。

そして、要件に応じた適切な選択ができるよう、継続的に学習を深めていきましょう。

正しいデータベース選択により、高性能で運用しやすいシステムを構築できるようになります。AWSの豊富なデータベースサービスを活用して、素晴らしいアプリケーションを作り上げていきましょう!

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